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Goods Column, 2


レプリカ・クロージングのディテール

J.T.R
けっこう前の話になるけれど、作年の春あたりから、会社でカジュアルウェアでの勤務が可能となった。おかげでスーツ主体だったファッションの視点がガラリと変わった。変わったというか学生時代のそれに戻ったというべきか。とにかく、ジーンズなどは休日しか穿く機会がなかったので買うのを控えていたのだけれど、これからは堂々と買える。それで買ったのが、"Jack The Ripper"というなんとも物騒なブランド名の、いわゆる501レプリカである。501レプリカというのは、大戦前後のリーバイス501のディテールを再現したもので、今や何十万円もするオリジナルの代替品として生まれた。しかしそのディテールのこだわりようは相当なもので、やれセルビッジ(注1)だの隠しリヴェット(注2)だの、「こうでなくてはならない」という約束事がいろいろある。何をかくそう、私はそういうのが好きで(笑)、ジーンズ・ショップでも、ウォッチ・ポケット裏のセルビッジを確認し、したり顔でうなづくというような俗物的行動をとったりする。

それはさておき、レプリカ・クロージングというジャンルは、国産品の独壇場みたいである。ジーンズについていえば、本家リーバイスもヴィンテージ・モデルのレプリカを発売しているけれど、企画は日本法人でだったりするし、個人的にも国産品のほうが好きだ(今回買ったのもそう)。作り込みの良さもさることながら、なんというか所詮シャレなんだから、シャレなのに本物のリーバイスの革パッチがついているのは困ってしまうのである(笑)。実際、市場的にも国産品のほうが優位なようで、それこそ100を越えるレプリカ・ブランドがあるらしい。一部のブランドに至っては、もはや代替品などというのではなく独自のステイタス性すらある。

ジーンズ以外のレプリカ・クロージングの代表的なものとしてはFJ(フライト・ジャケット)があり、こちらもジーンズに負けないディープな世界がある。私はゴールデン・フリースというブランドの初期型MA-1のレプリカを持っている。ちなみにアメリカ製なのだけれど、当時はまだ国産のレプリカは少なかった(注3)。MA-1についていえばフェローズがすごく凝ったのを出していた程度で、そんなわけで私のMA-1も少し不満はある。例えばボンベ・タグの素材が身頃と同じだったりとか、細かいのだが、そこはやはりコダワリがあるわけで。それが今や、国産のレプリカFJは何ともすごいのだ。各パーツの素材は限りなくオリジナルに近く、ジッパーの金型から自作してしまうという(800万円くらいのコストがかかるらしい)のだから驚く。実際その出来は素晴らしい。

SCOVILL
ジッパーの話が出たところで、実はジッパーは私の最も気になるディテールだ。つまりジッパーのメーカーはどこか、というのにこだわるのである。ジャケット本体は国産でも中国製でもいいけれど、ジッパーが YKKだったりすると興醒めだ(笑)。やはりジッパーだけはアメリカ製でなくてはならないのだ。ポピュラーなのはIDEAL(アルファの現行MA-1はこれ)やSCOVILL、通っぽいのはTALON、CONMERやCROWNなど。なお私のMA-1はSCOVILLだ。針金を曲げたような奴ではなく、切出しのスチール・プレートになっている(右画像参照)。オリジナルとは違うのかもしれないけれど、これは気に入っている部分。しかしSCOVILLというブランドは、果たしてどれだけのものなのだろう。というのは、イトーヨーカドーで買った名も知らぬブランドの子供用オーバーオールのリヴェットに、"SCOVILL"とキッチリ刻印されていたのである(笑)。[1999/1/19]

注1: 別名「赤ミミ」。旧式の力織機で編んだデニムにできる名残り。
注2: 後ポケットの補強のために仕込まれたリヴェット。
注3: 渋谷のトランス・コンチネンツで、店員に「それはどこで買ったんですか?」と訊かれたくらい。

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