男が使うモノ
カメラネタが続いて恐縮だけれど、着実に古いカメラにハマりつつある私は今、兄所有の
オリンパスOM-1(注1)を借りている。私が欲しいと思っている同じオリンパスの一眼レフ、ペンFTよりはちょっと新しい 1972年デビューの一眼レフ・カメラだ。これも金属製でマニュアル操作という、ちょっと古いカメラの魅力にあふれている。使ってみて、やはり自分の目でピントが確認できる一眼レフはいいなあと思う。ますますペンFTが欲しい気持ちが強くなってしまった。と、カメラそのものの話はこれくらいにして(笑)、このOM-1を手にして、改めて思ったことがある。それは前にも書いたけれど、カメラと銃、特にピストルとの共通性だ。例えば私が持っているワルサーPPK/S(もちろんモデルガン)と比較してみる。どちらも色は黒、ズシリと重く、頑丈この上ない。サイズは、ほぼギリギリまでのコンパクトさ。そのボディに、カメラのほうは調整ダイヤルやフィルム巻き上げレバー、ピストルには安全装置やハンマーなどが付いて、ゴツゴツしている。しかし、どれも機能美さながらで無駄がない形状だ。見た目の他に、操作面でも共通性がある。フィルムを装填する=弾を込める、フィルムを巻き上げる=ハンマーを起こす、ピントを合わせる=照準を合わせる、シャッターボタンを押す=トリガーをひく、という具合に。そういえば、写真を撮ることと銃で撃つことは、英語にすればどちらも"shoot"だ。
このように共通点をあげればキリがないけれど、ひとことで言えば無骨な形をした機械という感じ。そしてそこから連想されるのは、これは男の道具なのであるということ。実際、昔はカメラは操作が難しく、成熟した男性が使うものという風潮があった。また例えば西部劇における銃などは男の象徴の最たるものだ。しかしそれも、現在においてはどうか。カメラは年々操作の簡便化が進み、ずいぶん前からシャッターを押すだけで済むようになった。デザインも無骨なものは影をひそめ、流れるような形状でカラフルなものが氾濫している。銃にしたところでスミス&ウェッソンの Lady Smith(注2)のような、はっきり女性向けと銘打ったモデルが存在する。そもそも、女性より男性のほうがタフだという考え自体が過去のものだ。
しかし、今なお「男だけが使うモノ」があることに気づいた。それは、電気シェーバー、髭剃りである。私が使っているBRAUN社のシェーバーは、見た目はやっぱり黒くて、手に持つとズッシリ重みもある。分解掃除したりする行為も、カメラやピストルのそれに近いものがある。ドイツ製に名品が多い(気がする)のも、同じだ。これぞ大人の男だけが使うことを許されたモノ、、、なんて、おおげさか(笑)。[1999/7/1]
注1: |
当初はM-1というモデル名だったのを、ライカのモデル名と混乱するというライツ社からのクレームにより、OM-1と改名したといういわくつき。当時の一眼レフとしては驚異的にコンパクトで、大ヒットした。ちなみに設計者はペン・シリーズと同じ米谷美久氏である。 |
注2: |
ベースはあのチーフスペシャルことS&W M36である。 |
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