おもちゃの飛行機
その魅力を余すことなく具現化しているのが、同じ時代につくられたブリキのおもちゃの飛行機だと思う。ブリキではリアルなつくりにするのが難しい反面、現在とは違って当時の機体はそれぞれがユニークだから、適度にデフォルメされるとそれがより際立つ。さらには鮮やかなカラーリング、独特の光沢、なによりもノスタルジックな雰囲気は、ブリキならではだ。 というわけで俄然欲しくなった。とはいえ北原さんのコレクションを譲っていただくことはできないだろうから、似たようなものを買えるかなあと思い、古いオモチャを扱う店に問い合わせてみた。すると、そういったものは程度にもよるが、約10万円はするでしょうとのこと(注1)。いきなり挫けてしまった(笑)。 私もそれほどあきらめのよいほうでもないから、現行品のミニチュア・モデルもちょっと探してみた。ミニチュア飛行機の世界には大別すると2つあるようで、ひとつはおなじみの、プラモデル。もうひとつはデスクトップ・モデルと呼ばれるもので、こちらは金属・木・レジンあるいはそれ以外の樹脂を材料とした、組み立て塗装済みの完成品だ。 私の狙いはなるだけ大きいサイズのもの。しかしデスクトップ・モデルでそういうのはハンドメイドの超精密品ということになってしまい、それこそ古いブリキ製と大差ない値段か、あるいはもっと高価になってしまう(注2)。で、値段を考えるとプラモデルということになるのだけれど、私の欲しいと思う飛行機は、これがなかなかないのであった。 巷の模型屋で売られているのは戦闘機や爆撃機といった軍用機、特に第2次大戦時のものがほとんど。ところが私は軍用機にはそれほど興味がない。平和主義とかそういうのではなく、これは単に好みの問題。第2次大戦というのは飛行機の性能向上に大きな影響を及ぼしているし、私の好きなプロペラ旅客機にしても、ダグラス DC-4はその大多数が C-54として徴用され、優雅な美しい曲線を描く機体を持ち「空飛ぶ貴婦人」と呼ばれたコニーですら、初号機はオリーブドラブに塗られた軍用タイプ(C-69)だった。またストラトクルーザーなどは、日本では悪名高いボーイング B-29の主翼を使って造られた機体なのである。しかしそうして大量生産されたために、戦後世界中のエアラインを席巻する結果となったわけだ。 ここで目先を変えてというか、基本に帰ってというか、普通のおもちゃ屋も探してみた。すると、いちおう現行品のブリキの飛行機が、あるにはあった。ただし機種はボーイング 747・ジャンボジェットなどの最新鋭機に限られる。自分の好みとは違っているけれど、これはこれでよいなあと思い、2歳になる息子にひとつ買ってやった。ANA仕様のジャンボで、かなりデフォルメされたボディに、フリクション・パワーのタイヤ付きというのは、まさにブリキ飛行機の定番だ。全長は約 30cm、息子が持つとそれなりに大きく、予想以上に喜んでいた。そのうれしそうな顔をみると、よかったなあと思う。...えー、長々と書いてきて最後は親馬鹿オチ(笑)、すみません。[1999/9/3]
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