アイビーの故郷 実は、Bassのローファーは私にとってアイビー・ファッションの象徴のようなもの。私が中学生の頃、世間は第2次アイビーブームで、かくいう私もアイビーにかぶれたひとり。第1次ブームのバイブルが、メンクラや平凡パンチ、あるいは有名な写真集「Take IVY」あたりとすれば、私のそれはポパイやホットドッグプレスなど。これらの雑誌に必ずといっていいほど登場するアイビーのマスト・アイテム、それが Bassのローファーだった。マッケイ式の製法、ローファーとは「無精者」の意味、などというウンチクを憶え込んだものだ。 私がアイビーにかぶれたのは、当時大学生だった兄の影響が大きい。兄が買ってきたポパイを読んでは、中学生の身には高価すぎるアイテムの知識だけが蓄積されていった。その兄から Bassのローファーを「お古」でもらったのが高校生のとき。中底の"Bass Weejuns"のロゴはとうに剥げ落ち、見た目も結構ヤレた代物だったけれど、完璧と思えたデザインは健在。周りの友人達はリーガルやハルタを履いていたわけだから、ちょっと自慢だった。しかしやがて私の足のサイズは兄より大きくなり、その「お古」はまた友人へ譲った。そして大学合格した自分へのお祝いに買ったのが、前述のそれである。 さて、アイビー・リーグのなかでも、アメリカ最古の歴史を持ち(1636年創立)、F.ルーズベルトや J.F.ケネディ等歴代大統領を輩出したハーバード大学は、名門中の名門。アイビー・ファッションの故郷ともいえるそのハーバード大学に、新婚旅行のときに(笑)訪れる機会を得た。観光コースの中のひとつにすぎず、ほんの少しの時間だったけれど、やはり感慨深いものがあった。そして門に掲げられたハーバードの校章を仰ぎ見て、そこに刻まれたスローガン、"VERITAS"(注2)の文字を心の中でつぶやいた。[1999/1/22]
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