古いカメラにハマる?(その2)
ライカ(LEICA)は、ドイツのエルンスト・ライツ社が1925年に送り出したブランド。ライカとはライツのカメラを意味する。希代のカメラ技術者オスカー・バルナック(注1)の手によるこのライカは、今なお主流の35mmフィルムを使うカメラの先鞭であり、乾板写真が一般的な当時では類をみないほどコンパクトで、堅牢なボディを実現した。2本の軸に巻かれたフィルムを囲む横長のボディ、その中央に装着された沈胴式レンズ、上部に配置されたファインダー、シャッター、巻上げダイヤル等の構造とデザインは、機能実現のための帰結であり、またそれは現在の小型カメラの原型でもある。つまりライカ以降のカメラはすべて、ライカのコピーといえなくもない。そして1954年発表のライカM3は、レンジ・ファインダー式カメラ(注2)のひとつの到達点となった。 このようにカメラ界では、まずライカありき、らしい。車でいえばメルセデス、時計でいえばロレックス、のようなものか。もちろんライカの他にも、とりわけドイツにはコンタックス(注3)のような有名ブランドはある。そして、忘れてならないのがニコンやキャノンをはじめとする日本のブランド。もともとライカのコピー路線(注4)からスタートしたとはいえ、多くの優秀なカメラを生み出し、今や日本は名実ともに世界一のカメラ大国になった。ちなみに、ここに至るまでの興味深いエピソードがある。前述のライカ M3の完成度に脱帽した日本のメーカーは、レンジ・ファインダー式カメラに見切りをつけ、現在の高級カメラの主流である一眼レフに路線を変更した。結果としてニコンFなどの名機が誕生し、広く世界に認められるようになったのだという。皮肉なものだ。
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