日本冒険小説協会公認酒場「深夜+1」のこと

深夜+1
先日、gabyさんのBBSのメンバーでオフミをやった。どなたも気さくな方ばかりで、冒険小説やその他の大変な読書家揃い。話も盛り上がり、とても楽しいひとときを過ごすことができた。さらに、うれしい経験だったのは、2次会で日本冒険小説協会公認酒場「深夜+1」に行ったこと。店の中は、同協会会長の内藤陳さんの著書「読まずに死ねるか!」(以下、「読ま死ね」)を読んでイメージしていた雰囲気そのままで、なんというか伝説が今も生き続けている、という感慨があった。内藤会長ご本人にもお会いできたし(緊張したー)、たまたま持参した「読ま死ね」の文庫本に会長のサインまでいただいてしまった。これはもう、宝物だ(涙)。

そしてもうひとつ、この店で私が密かに感動した出来事があった。「深夜+1」という店の名前の通り、こことライアルの最高傑作「深夜プラス1」との濃い関係は言うまでもなく、「読ま死ね」でこの作品がイチオシで薦められているのもご存知かと思う。しかし私が深プラという作品を初めて知ったのは、残念ながら「読ま死ね」ではなく、雑誌メンズクラブの、とある1ページなのだった。

なにぶん20年近くも昔の記憶で曖昧なのだけれど、そのページには深プラのポケミスと、その上に置かれたモーゼルM1932のイラストが描かれていた。イラストレーターは、たしかメンクラではおなじみの斎藤融さん。イラストの下のほうにちょっとだけ深プラのストーリーが引用されていて、それが例の「トレイラーにのせて引っ張って行くのか?」というハーヴェイの皮肉。これがすごくインパクトがあって、それで初めて深プラを読んだ。そしてライアルの大ファンになったのだ。そのメンクラは当時大学生の兄が買ったもので、もちろん今は失くしてしまった。古本屋でメンクラのバックナンバーをいつもチェックはしてみるのだけれど、簡単に見つかるものじゃない。

ところが、それがあったのだ、「深夜+1」に。壁中に貼られた古い映画のポスターや冒険小説の表紙カバー、天井からはダコタなどの飛行機の模型がブラ下がり、わずかに空いたスペースには、ピストルや何だかよくわからない物体が無造作に置かれている。そんな混沌とした店の中にひっそりと、そのページだけが額に入って飾られていたのだ。...絶句。この伝説の店には、やはり私の求めるものがちゃんと、あったのだ。

[1999/7/31]


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